IWC2018「SAKE部門」(清酒部門) 全国97銘柄に“ゴールドメダル”〈受賞酒一覧〉
同部門は2007年から創設され、市販の清酒を対象としている。今回は過去最高となる計456社1,639銘柄が出品。5月13日から16日の4日間、日本を含む各国の審査員59名によるテイスティングを実施し、受賞銘柄が決定した。
ゴールドメダル受賞酒は計97銘柄。そのうち、「純米酒」「吟醸酒」など規格別の9カテゴリーから各1銘柄の“トロフィー”(各部門最高賞)が選出されたほか、“トロフィー”にはわずかに及ばなかったものの高い評価を得た、産地が異なる次席の銘柄には“都道府県トロフィー”が授与された。また、四合瓶換算10万本、小売り価格1000円以下の酒の中から「IWC Great Value Sake」 (グレートバリューサケ)が選ばれた。
審査員として参加した“マスター・オブ・ワイン”の大橋健一氏は、今回のコンペティションについて「ゴールドメダル受賞銘柄は全97銘柄で、受賞率は5.9%。そのうち山形県産のものが17銘柄。山形県は182点の日本酒が出品され、ゴールドメダル受賞率は9.3%。全国平均を遥かに超えるレートとなった。審査はブラインドで行われるので、どれがどの銘柄かと言うことはわからない。純粋にクオリティが高いということだ」と開催地である山形県産酒を高く評価した。
〈客観的な視点を持ち、日本酒をグローバルで躍進へ〉
授賞式後に開催された記者会見で、大橋健一氏は同コンペティション開催の意義について「教育とプロモーションを目的としている」としたうえで、「日本酒がグローバルなマーケットで躍進するためには、日本人が外国人に一方的に教えるのではなく、外国人が日本酒に対して何を望んでいるかを知る必要がある。我々がポジティブと捉える香りでも外国人にとってはネガティブということは往々にしてあり、もちろんその逆もある。日本人と外国人双方の目から見てしっかりと精査することで、日本酒がグローバルのマーケットの中で躍進できる環境が出来上がるのではないか」と話した。
審査員として参加した“マスター・オブ・ワイン”大橋健一氏
また、日本のメーカーに対しては「日本は20人に1人が外国人。一方でロンドンやニューヨークなど様々な人種と文化が入り交じる都市では、日本人のように“外国人”という言葉を使うことは少ない。互いの国籍を尊重しつつ、文化を知る流れが国際都市では一般的だが日本はまだまだそういった状況ではない。日本人が美観だと思っていることがそうではないこともある。日本酒がインバウンド消費や輸出市場で活躍の場を広げる際、最も大切なのは客観的になること。“この日本酒がいい”と日本人が言うことや、“日本酒はどこであれこうあるべきだ”という考えは、グローバルな市場では通用しない。しかしIWCでは様々な国籍の方が口にするため、そこで下される“客観的な評価”は非常に有意義なものとなる。結果を見たとき振るわないのは何かしらの原因があり、出品酒1つ1つにそれをフィードバックしている。悪い点数であることはチャンスにしかならない。どんどんチャレンジしていただき、日本酒を更に飛躍させてほしい」と語った。
〈酒類飲料日報 2018年5月21日付より〉
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