「和牛甲子園」に全国から“高校牛児”結集 優勝は岐阜・ 飛騨高山高校

左から岐阜県立飛騨高山高等学校3年生の加藤大地さん、林実佐子さん、安藤都教諭
〈JA全農主催で初開催、全国15校が競い合う〉
JA全農は18、19日の両日、東京食肉市場で初の全国の農業高等学校などによる牛枝肉共励会(牛肉の品評会)、「和牛甲子園」を開催。全国から“高校牛児”が集まった。

全国8県・15校から、生徒が育てた黒毛和種21頭が出品され、牛枝肉取引規格に基づく肉質評価に加えて、出場校の日ごろの飼育活動の体験発表会(取組み内容など)の2つの総合評価で優勝校を決定する。出品牛についてはセリ販売が行われた。

当日は、岩手、栃木、富山、岐阜、三重、島根、佐賀、鹿児島の8県・15校から総勢53人の生徒が、21頭の和牛を引き連れて参加した。全農によると、全国に農業高校が306校存在し、このうち34校で畜産学科が設置され、授業やクラブ活動を通じて生徒の手により和牛が飼育されている。全農では、将来の担い手である生徒に大会に出場するという具体的目標を持ってもらいつつ、肥育技術を競い合い、さらに同じ志を持つ各地の同世代の仲間との交流の場として企画した。昨年、宮城県で開かれた「全国和牛能力共進会」では初めて高校生の部が設けられたが、単独で開かれる高校生の大会としては「和牛甲子園」が初めての試みとなった。

出場校は次の通り。
▽水沢農業高等学校(岩手)
▽遠野緑峰高等学校(岩手)
▽矢板高等学校(栃木)
▽那須拓陽高等学校(栃木)
▽鹿沼南高等学校(栃木)
▽宇都宮白楊高等学校(栃木)
▽栃木農業高等学校(栃木)
▽中央農業高等学校(富山)
▽飛騨高山高等学校(岐阜)
▽加茂農林高等学校(岐阜)
▽相可高等学校(三重)
▽出雲農林高等学校(島根)
▽唐津南高等学校(佐賀)
▽鶴翔高等学校(鹿児島)
▽鹿屋農業高等学校(鹿児島)

〈優勝は岐阜県立飛騨高山高校、単価3,505円で全農ミートが購入〉
記念すべき第1回の優勝校は岐阜県立飛騨高山高等学校(左から3年生の加藤大地さん、林実佐子さん、安藤都教諭)が選ばれた。同校は和牛のオリンピック(5年に1回開催)である「全国和牛能力共進会」宮城大会(昨年9月)の高校生の部でも優勝しており、文字通り2冠を達成した。

肉質部門の最優秀賞は鹿児島県立鹿屋農業高校の出品牛(去勢A5、27カ月齢、BMS12)で、中村畜産が単価3,502円で購入した。

和牛甲子園の最優秀賞に選ばれた飛騨高山高校の出品牛(雌A5、31カ月齢、BMS10)は肉質の部で優秀賞だったが、日頃の飼育活動の発表(全共での優勝など)も加味し総合評価で最優秀賞に選定された。なお同出品牛は、kgあたり単価3,505円で全農ミートがセリ落とした。同校では今回出場した3年生2人と2年生12人で、繁殖牛15頭、肥育牛30頭を飼っている。

肥育での工夫について聞くと、「牛の体調をよく見ることが大事。血液検査を行い、もし異常な数値があったら、皆で相談したり、分からなかったら先生や獣医師に相談する。日頃の細かな観察が基本になる」(加藤さん)という。また、「全国和牛能力共進会」に向けての取組みでは、「繁殖牛であり、ブラシ掛け、調教など毎日の世話をしっかりすることが重要」と話す。

〈畜産日報 2018年1月22日付より〉

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